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コラム「食」はいつも人生の中心にある!
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 唇に当てると、“ひやり!”とするほど冷えた「シャイン・マスカット」を肴に、これもまたキンキンに冷えた「白ワイン」を喉に流し込むと、映画「プリティウーマン」で、「リチャード・ギア」が演じる主人公が、「ジュリア・ロバーツ」演じるヒロインと共に「イチゴ」を“当て”に冷えた「シャンパン」を飲む場面が目に浮かぶ。それは、巨万の富を手に入れた男の、「食」に対する鋭い感性を見事に表現したシーンだった。貧しい教師だった母親を捨てた、大金持ちの父親を許せず、父親の会社にM&Aを仕掛けて、父を破滅に追い込んだ男が主人公の映画なのだが、逆にこの場面で、彼が無意識のうちに身に着けてしまった、父親譲りの「食」への感性や、事業の才能などがクローズアップされる訳だ。正に「食」に対する姿勢が、その人間の“人生”を描き出す演出が大成功した一作だろう。

 よく“食は三代”と言うが、ただ単に“三代”かけて「食」に対する“贅沢”を追求することなど本来、大した意味は無いだろう。それよりも、何のこだわりも無く、本当に“美味しいもの”を、的確に“美味しい!”と言えるようになるのに、いささか“時間”と“経験”と“努力”を必要とするのだと最近思うようになった。もちろんこの“美味しい!”の中には、料理に合った美しい“食器”や、清潔で快適な“空間”、日本の四季を意識した“旬の食材”や、共に笑顔で食事に興じられる“相手”が必要なのは言うまでもない。そしてもちろん「食」の作り手の“心意気”と、時に旨い酒との“マリアージュ(融合)”もである。

 私に外食の神髄を教えて下さった「岩下善夫」氏(テンコーポレーション創立者)は、「天丼のてんや」を作り上げる時、超一流の空間デザイナー達を集めてコンペ(店舗デザインに関する提案競争)を開催した。当時、デザイナー達には提案に掛かる費用など支払わずにプレゼンテーションをさせるのが当たり前の風潮の中で、「岩下」氏はかなり高額な準備金を各参加者に支払ったのだ。例え安価な料理を提供する店であっても、店舗内の色合いや店舗デザイン、ユニフォームに至るまで一切の妥協を許さなかった。もちろん食材についても、自社の出資者でもある商社が、インドネシアに建設予定だった“ブラックタイガー(大きな旨い海老)”の養殖地からの“安定供給”を事前に計算し尽していた。 500円で食べれる天丼でありながら、瞬間的に一目で“美味しい!”と顧客に感じさせる為には大きな“海老天”が“絶対条件”であったが、彼は、原価率との闘いも制して、“ほっこりする温かみ”を顧客に届け、「食」の価値を守ったのだった。

 最後に、どうしても避けて通れない「食」の現状の話をしたい。今、地球上に住み暮らす全人類の三分の一は飢餓状態にあるという。そして我が国においても決して他人事ではない状況が進行している。「食」が人生の中心にあるが故に、それが満たされない時、人は情緒不安定になり、攻撃的になったり或は絶望的になったりする。それが発育盛りの子供達なら尚更だ。親の育児拒否や貧困が子供たちの「食」を直撃している。これに対して「こども食堂」等の動きが少しづつ出て来ているがまだまだ足りない。豊かな「食育」を子供達に届けたいものだ。

文 国影 譲

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