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一期一会のある暮らし
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 私達日本人にとって、同じアジアというエリアでありながら、ほとんど実体を知らぬ“西アジア諸国(アラブ諸国と称される!)”への理解は、子供の頃から“その世界”に遊んだ「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」によってようやく扉が開かれたと言っても過言ではないだろう。ササン朝ペルシャの王「シャフリヤール」に、その王妃である「シエラザード」が命を賭けて毎夜語るという形式をとったこの「物語」は、実は、ペルシャ・インド・ギリシャなど各地に伝わる民話の集大成であり、「ハザール・アフサーナ」(中世ペルシャ語で“千の物語”の意味)として編纂された。そして、ササン朝がイスラム帝国に征服される中、アラビア語に翻訳されて「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」(千一夜物語)となったのである。1704年には、東洋学者「アントワーヌ・ガラン」がフランス語に翻訳して一気にヨーロッパ中に「アラビアンナイト」熱が広まり、1706年には英語版が出版された。元々アラビア語による「千一夜」には282夜分の話しか無かったが、「ガラン」が“キリスト教徒”達から聞き取ったという“アラジンと魔法のランプ”、“シンドバッドの冒険”、“アリババと40人の盗賊”、“空飛ぶ絨毯”などが追加され、現代ではアラビア版「千一夜」より人気があるようだ。これらの話はもちろん作者不詳であるが、人々にとって常に次の展開が待ち遠しくなるような“冒険活劇”ばかりであり、魅力に溢れた“宝箱”だと言えよう。

 一方、日本で「物語」と言えば世界最古の“長編小説”と言われる「源氏物語」 を抜きには語れない。全54帖からなるこの「物語」は、平安時代中期を舞台に天皇の子「光源氏」を主人公として、貴族達の恋愛模様やそれぞれの人生の紆余転変を描いた世界的な名作である。その作者と言われる「紫式部」は、天下を欲しいままにした左大臣(後の太政大臣)「藤原道長」の娘「中宮・彰子」に使えた“女官”だ。下級貴族の出身だった「紫式部」は、夫「藤原宣孝」と結婚後3年で死別し、その悲しさから逃れる為に「源氏物語」を書き始めたと伝えられる。紙が貴重でまだ印刷技術の無い時代に、彼女の紡ぎ出す「物語」は、写本という形で驚くほど多くの人々に広まり、その人気は我々現代人の想像を遥かに超えたものだったと言えよう。読者達は、類稀なる美貌と知性と権力を兼ね備えた「光源氏」や、彼が愛した女性達に“感情移入”し、一喜一憂していたに違いない。

 そして現代、遂に「物語」の世界では、その「紡ぎ手」と「受け手(読者)」の関係に、大きな変化が訪れた。これまでのように「紡ぎ手」から「受け手」に対し、一方的に与えられる情報としての「ストーリー型物語」から、「受け手」自身もその中に存在し、自由な意思決定が出来、結果としてその“筋”や“結末”が可変していく「ナラティブ型物語」への移行である。人々は自らが「自分だけの物語」の「紡ぎ手」となる訳で、それはまるで“人生”そのもののようにナチュラルだ。“ゲーム”や“ブランドマーケティング”の世界では、既にこの動きが顕在化していて、「ナラティブ型物語」は急速に人々の間に広まっていくことになるだろう。「紡ぎ手」としての貴方が、「物語」の未来を決めることになる!

文 国影 譲

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