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言葉のルーツを 訪ねて(下)

  そもそもなぜ“歌舞伎”や“演劇”の事を「芝居」と言うのだろうか。歴史は 遥か“鎌倉後期”に遡る。当時民衆の間で流行していた“猿楽(さるがく)”や“田楽(でんがく)”などの芸能は、“寺”や“神社”が、檀家(だんか)や氏子(うじこ)を勧誘する為に、或は祭りと同じように一般民衆を楽しませる為に、その境内で行われることが多かったらしい。もちろん“観客席”などという施設は、まだ存在しておらず、芝生が生えている一角を縄などで囲い、ゴザや毛氈を敷いて観劇していた。そこで最初は、この“芝”に座っている観客の事を「芝居」と言い、後にこれが“舞台”を含む施設全体の名称となり、最終的にそこで行われる“芸能”や“演技”そのものが「芝居」と言われるようになったわけである。

 

  今も昔も変わらず、また男女を問わず、人々は“美男美女”がお好きである。“美男”の事を“イケメン”とか「二枚目」と言うが、この「二枚目」とそして ひょうきんな道化タイプの男性を「三枚目」と言うのは、いずれも“上方歌舞伎”から発祥している。“京都南座”では、毎年十二月“招き(まねき)”と呼ばれる“顔見世大歌舞伎(かおみせおおかぶき)”が催されるが、この時、“南座”の 正面には出演する“歌舞伎役者”の名前の入った“看板”がずらりと並ぶ。上部の一番目立つ所にあるひときわ大きな看板は“座頭(ざがしら)”を務める役者で、その隣の「二枚目」の看板には“美男”として女性を惹きつける役どころの立役者、更に「三枚目」の看板には“狂言回し”や“道化役”の役者の名前が並ぶのが約束事である。「二枚目」役者は、上方独特の“和事(わごと)”という“男女の機微”を描いた演目で力を発揮し、その“美しさ”で女性客の溜息を誘う。また「三枚目」の役者は、ひたすら話の筋を進める事と、満場の観客を笑わせる事に力を注ぐ。このように、それぞれの役者の役割がはっきりしていることで、観客は安心して「芝居」の内容に没頭することが出来るという寸法なのだ。

 

  現代社会では「なあなあ」と言うと、あまり良い意味に使わない場合が多い。曰く、“慣れ合い”とか“妥協する”、或は“適当に手抜きする”などという時に「なあなあ」と表現するようだ。実はこの「なあなあ」も“歌舞伎”の演技から生まれた言葉だと言われている。“歌舞伎”では二人の登場人物が内緒話をする場面で、一人が相手の耳元で「なあ!」と言い、もう一人がこれを聞いて「なあ!」とうなずく。この二人の仕草と台詞だけで“話が通じて”しまうという表現から、現代の「なあなあ」の意味である“慣れ合い”などに意味が転じたのだろう。

 

  最後に、ちょっと滑稽な表現である「大根役者」についてご紹介しよう。演技の下手な役者を「大根役者」と言うが、これは、江戸時代の人々が「大根」には“消化不良”や“食中毒”などに対する“薬効”があり、いざという時は「大根」さえ食べておけば“当たらない”ことを知っていたことが語源だ。つまり、“演技が下手”→“客が入らない”→“興行が当たらない”→“当たらないのは大根”→「大根役者」という洒落で、厳しいが、役者への愛情を感じる言葉だと思う。

文 国影 譲

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