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情報洪水の只中に居て(上)

  友人の大学教授が嘆いて言った。「昔は、発表された論文を学生よりも1日でも早く読んでいれば、それだけで大学教授への信頼と尊敬が得られたものだが。」 今や学生であっても、新たな論文が発表されるとほぼ同時にこれを読む方法など いくらでも存在するようになった。単なる“情報量”が社会における“優位性”には繋がらないということを顕著に表す例だろう。分らない言葉があっても手許のスマホで“ちょちょい”と検索すれば、まるで以前から熟知していたかのように人と話を合わせることも出来る。ひと昔前のように、分厚い「広辞苑」や「現代用語の基礎知識」或は「エンサイクロペディア・ブリタニカ」を引っ張り出さなくても、いとも簡単に“情報”が手に入る。いや少なくとも手に入ったような気になってしまう。現代とはまさにそんな時代なのだ。しかし、実はここに大きな“落とし穴”があるということにも気付く必要があるだろう。友人の大学教授は、更に続けた。「でもね。とても驚くのは、そんな彼らが卒業論文に平気でWikipedia(ウィキペディア)を丸写ししてくることさ。」Wikipedia(ウィキペディア)はインターネット情報の最先端ではあるが、“真実”か“脚色”か定かでない“玉石混交”の世界でもある。問題なのは一旦インターネットに載ってしまうとこれらの“情報”が全て
“真実”のように見えてしまう事だろう。

  過去には、“情報”にとって最も重要なのは“鮮度”だと思われていた。でも今では“鮮度”を云々する前に、“情報の質”についてかなり厳しいフィルターが必要となっている。例えばそれが、“ありふれた真実”か、或は“センセーショナルな嘘”なのかとか、“平凡な実話”か或は“皆が好む伝説”なのかなどを見極める目を持つ必要があるということだ。「お客様は神様です!」という言葉は、多くの人々が歌手の「三波春夫」さんの言ったことと信じて疑わない。しかし生前、「三波」さんは「私は、舞台はおろか、いかなる人の前でも“お客様は神様です!”などと申し上げたことは一度もありません。」と述懐されている。 つまりこの言葉は“皆が好む伝説”だった。どんな意図があったのかは定かではないが、誰かが、お客様をあれだけ大切にする「三波」さんだから「お客様は神様です!」などと言いそうだよねということでこの話を創作したのだ。恐ろしいのは、“情報”としては“平凡な実話”よりも、“皆が好む伝説”の方がはるかに伝搬力が強いという事実だ。きっと誰かに話したくなる要素があるからだろう。

  1987年、あるビール会社が山手線全域で「ささやき大作戦」という口コミ宣伝を行った。数百人の男女が、山手線内全電車の中で一斉に「今度出たあの
ビール、キレもコクもあって旨かったよ!」と一般の会話の中で、囁いたのである。ほどなくしてそのビールはシェアNo1となった。私はこれが現在の“ステルスマーケティング”の原型だと思っている。最強の伝搬力を持つ“情報”とは
“口コミ”なのだ!貴方は、“食べ歩き”の店を選ぶ時、サイト上の“星の数”や、既に食べに行ったという人の話を、頭から信じてはおられないだろうか。(つづく)

文 国影 譲

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