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「Money」よもやま話(3)

 1枚の紙切れでしかない“1万円札”に、なぜ私たちは何の疑いもなく“1万円の価値”を見出しているのだろうか。太古の昔から欲しい物を手に入れる手段として永く続いた“物々交換”という方法が、「通貨」を仲介とする“貨幣経済”へと変わって行く為には、多くの人々が「通貨」には間違いなく“もの”
や“サービス”を手に入れるための“交換価値”が備わっていると“信じること”が絶対に必要だ。そしてその“信頼”の証(あかし)を、「通貨」それ自体でなく何か別の“もの”の価値に求めることを「本位制」と言うのである。

 「本位制」には、例えば“希少価値のある金属” (金や銀など) に価値を求める「金本位制」や「金銀複本位制」、或は江戸時代のように税収の中心となる“米”にその価値を求める「米本位制」、はたまた日本では古来より“絶対的価値あるもの”と国民全員に認められていた“土地”にその価値を求める「土地本位制」などがある。江戸時代、世の中全般には“貨幣経済”が行き渡り、「金銀複本位制」による「通貨システム」が機能していた訳だが、ややこしいのは地方公務員や国家公務員とも言うべき“武士”が、その報酬を“石高(こくだか)”という「米本位制」で受け取っていたことだ。基本的には、1石は10斗(と) で、10斗は100升、100升は1000合であり精米すると約150sとなる。これは当時、一人の成人男子が1年間に食べる米の量にほぼ匹敵し、江戸時代を平均するとその価格は約1両であった。ただ、米自体が「通貨」として流通するはずもなく、“武士”は“札差”などの商人に“米”の換金を依頼し、ついでに彼らから多額の借金をして、実質的な身分制度崩壊につながった。

 「金本位制」が第二次世界大戦以降も続いた国と言えば、アメリカ合衆国である。終戦直前にニューハンプシャー州ブレトンウッズで開かれた“連合国会議”で米ドルを世界の“基軸通貨”とし、“金”との交換レートを金1オンス=35米ドルとすることが決められた。しかし、その後の“東西冷戦”や“朝鮮戦争”、そして“ベトナム戦争”と続く戦費拡大によって、米ドルの発行需要が高まった。ところが、発行する「通貨」と同量の“金”を保有していなければならない“ブレトンウッズ体制”が、米ドルの“自由な発行”を阻害することになる。そこで1971年8月15日、当時のアメリカ大統領リチャード・ニクソンは“ブレトンウッズ体制”の破棄を宣言すると共に、“金”と“米ドル”の交換を停止し、ここにアメリカの「金本位制」は終焉した。世界は「ニクソンショック(ドルショック)」と呼ばれる状況に直面することとなったのである。

 「土地本位制」は、実はまだこの日本で実質的には継続していると言われている。その証拠に皆様が銀行にお金を借りに行けば、必ず「ご自宅は“持ち家”ですか?何か“不動産”
をお持ちでしょうか?」と聞かれるだろう。しかし、そんな日本経済も20年前のバブル崩壊以降は、どうやら「土地本位制」を脱して、「情報本位制」に移行したと言えそうだ。次回はそんな話をしてみたい。(つづく)

文 国影 譲

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