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「引っ越し」狂騒曲、何処へ?

 「葛飾北斎」、93回。「ベートーヴェン」、79回。「江戸川乱歩」、46回。読者の皆様には、これがいったい何の数字だかお分かりになるだろうか。実は彼らが一生涯に「引っ越し」した回数なのだ。「葛飾北斎」に至っては、一日に3回も転居したというから驚く。絵を描くことだけに集中したい「北斎」にとっては、“片づける”とか“掃除する”という概念は無く、アトリエでもある住処が散らかれば、即「引っ越し」という事になる。「ベートーヴェン」の場合は、音楽家に有りがちな“騒音トラブル”と“盗作への恐れ”そしてやはり“掃除嫌い”が転居理由と伝わる。「江戸川乱歩」は2歳の頃から父親の転勤で「引っ越し」を繰り返し、それが習い性になってしまったという説もあるが、実際は“人間嫌い”で“近所付き合い”が始まりそうになると直ぐに「引っ越し」を考えたそうだ。

 はてさてそんな「引っ越し」だが、この言葉よくよく眺めてみると不思議だ。いったい何を“引き”、何を“越す”というのだろうか。一説には、飛鳥時代に役人の身分が上がり、その屋敷を移動する事を「引き越え」と言い、この習慣が江戸時代になって庶民の間で「引っ越す」という言葉になり、更に「引っ越し」という名詞になったらしい。“引く”には、車に荷物を積んで、遠方まで引いて行くという意味や、引退したり身を引くなどして現在の住まいを退き、別の場所に移動するという意味があるという。“越す”は現状を越えて行く、或いは現状を打破するという意味が有力だ。いずれにしても江戸時代に「引っ越し」という言葉が使われ始めていることは明らかになっており、庶民の生活にも“家移り(やうつり)”、“宿替(やどがえ)など転居、転宅が一般的になった事が見て取れる。

 実は、私にとって“春”がちょっぴり苦手なのは、花粉症という難敵が現れるせいもあるが、何と言っても“学生”、“社会人”を問わず、人生が大きく変わってしまう季節だからだ。“学生”さんの卒業や進学は、まだ“夢と希望に燃えて”というイメージもあるが“社会人”の転職や転勤となると、“夢と希望”では済まされない。何より「引っ越し」という大仕事が避けられない場合も多いからだ。

 1960年代から始まった日本の“高度成長経済”は、人事面で世界でも稀有な転勤文化を生んだ。何しろ日本中、いや世界にも出先が広がるのに、優秀な人材には限りがあるため、個々人の持つ事情など考慮している場合ではない!と会社は考えたのだろう。又、24時間365日戦うサラリーマンが持てはやされる時代に有って、辞令一本で“どこへでも”「引っ越し」ていくことが当たり前だった。

引越 この頃には、運送会社が本業の片手間に「引っ越し」にも手を出すという状況が変化し、第一次オイルショックが起きると中小の業者が統合再編をして、引っ越し専門業者が誕生した。「引っ越し」がかなり“春”に集中するため売手市場で、料金との兼ね合いで業者選定に苦労された方も多いだろう。テレビで「引っ越し」業者の
コマーシャルが流れるのも世界的には珍しい。しかし、この3年間に及ぶコロナ禍が、日本に“テレワーク”や“働き方改革”という新しい生活パターンや人事潮流を生み出した。日本独自の「引っ越し」文化は何処へ向かうだろうか?

文 国影 譲
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